STD

STD(性行為感染症)には、クラミジア、淋菌、ヘルペス、コンジローマの他に、梅毒、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスがあります。

クラミジアのように不妊症の原因になることもあります。気になることがあれば、ご相談ください。

治療は、それぞれ確立された方法があります。

梅毒

梅毒は、トレポネーマ・パリダムという細菌によって引き起こされる性感染症(STD)です。感染後、早期に適切な治療を受けることで、合併症や他者への感染を防ぐことが可能です。梅毒は、複数の段階を経て進行し、それぞれの段階で異なる症状が現れるため、早期発見と治療が重要です。

【梅毒の症状】
梅毒は、一次梅毒、二次梅毒、潜伏梅毒、三次梅毒の4つの段階に分類されます。

一次梅毒:
感染後約3週間以内に、痛みのない潰瘍(硬性下疳)が出現します。この潰瘍は通常、感染部位(性器、直腸、口など)に現れます。数週間後には自然に治癒しますが、治療を受けない場合、病気は次の段階へ進行します。

二次梅毒:
一次梅毒の症状が治癒した後、数週間から数ヶ月以内に全身に発疹が出現します。発疹は手のひらや足の裏などにも見られることがあり、他にも発熱、倦怠感、リンパ節の腫れなどが現れることがあります。この段階でも症状は自然に消えることがありますが、感染は体内に残り続けます。

潜伏梅毒:
症状が見られない潜伏期に入りますが、感染は依然として体内に存在し、治療が行われない限り、いつでも再発する可能性があります。

三次梅毒:
治療されない場合、感染は数年から数十年にわたって体内で進行し、心臓、神経系、骨などに深刻な損傷を与えることがあります。この段階は非常に危険で、命に関わる場合もあります。

【検査方法】
梅毒の検査は、血液検査によって行われます。早期発見のためには、性感染症のリスクがあると感じた場合や症状が現れた場合には、速やかに検査を受けることが重要です。当クリニックでは、プライバシーに配慮した安心・安全な環境で、迅速かつ正確な検査を提供しています。

【治療方法】
梅毒は、抗生物質(主にペニシリン)の投与によって治療されます。早期の段階で適切な治療を受けることで、完全に治癒することができます。しかし、治療が遅れると、後遺症を残す可能性があるため、症状がなくても定期的な検査と診察を受けることが推奨されます。

クラミジア

クラミジアは細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生微生物であり、DNA とRNA を有し、2分裂で増殖します。以前は細菌とウイルスの中間に位置する微生物(クラミジア属)と言われていましたが、最近ではグラム陰性球菌に類似した細菌として分類されているようです。

しかし、他の細菌と違って、クラミジアは生きた細胞内に侵入し、細胞内で分裂・増殖したのち細胞を破壊し、細胞外へと拡散して、さらに他の細胞へと侵入することで感染を拡大するので、この意味ではウイルスに近いです。

クラミジア属には何種類かありますが、人に感染するのは、chlamydia pneumoniae(→肺炎)、chlamydia psittaci(→オウム病)、chlamydia pecorum(クラミジア・ぺコルム)、chlamydia trachomatis だけで、このうち性感染症の原因となるものは trachomatis(トラコマティス)だけです。
クラミジア性感染症は、男女ともに感染する可能性があり、特に若年層の女性で多く見られます。感染していても自覚症状がないことが多いため、気づかないまま感染が広がります。

【クラミジア感染の症状】
クラミジアは、感染者の圧倒的に多くが無症状であるため、普通は感染に気づきません。ネットで調べると以下のような症状が出ることがある、と説明されますが…

女性の場合:
・おりものの異常(量が増える、臭いが強いなど)
・下腹部の痛み
・性交時の痛み
・不正出血
・排尿時の痛みや不快感

男性の場合:
・尿道からの分泌物(透明、白色の液体)
・排尿時の痛みやかゆみ
・陰嚢(睾丸)の痛みや腫れ

因果関係は証明できないので、上記の症状がクラミジア感染に関連するかどうかは全く疑わしい。
つまり、「おりものが多い」を「クラミジア感染かも」と疑う理由にならないということです(売り上げを増やす意味でクラミジア検査をすぐに勧めてくる病院もあるようですが)。

外来患者で「おりものが多いからクラミジア検査希望」と言う方がたまにいらっしゃいますが、婦人科外来診療をする立場からすれば、「このおりものはクラミジアだね!」だなんてありえません。

「おりものが多い」なら帯下培養して洗浄+抗生剤挿入という治療です。
「下腹部痛」の原因なんて多岐にわたりますし、「不正出血」なら子宮がん検査と超音波検査だし、「排尿時の痛みや不快感」なら膀胱炎ですね。

そして男性は無症状です。「タマが痛い」→「じゃあクラミジア検査しましょう」なんてありません。

しかも男性はたとえクラミジアに感染していても検査で陽性になりづらい。故に「検査で陰性だったから」と治療しないとまたパートナーに感染させます。

【クラミジア感染の検査】
めったやたらにクラミジア検査するものでもありません。
そもそもクラミジア感染を検査しようという気になるのは、「パートナーがクラミジアまたは淋菌感染症になった」とか「おなかが痛い」で骨盤腹膜炎を疑うとき(又は「危険そうな相手と性行為した」とかもある)くらいのもの。なお、クラミジア感染と淋菌感染とは度々混合感染するので、どちらか一方ではなく両方を調べるべきでしょう。当院では両方調べるようにしています。

確認するための検査は以下の通り。

・膣分泌物検査:女性の場合、膣や子宮頸部から採取した分泌物を綿棒で採取して検査します。
・喉の検査:喉の感染に関しては、うがい液を採取して検査します。

帯下での検査(←自分で検査する場合)は精度が低いかも、咽頭を擦過する検査は擦過の仕方次第になり、当院では上記2方法にしています。

検査結果は数日以内に判明し、陽性の場合にはすぐに治療を開始することが重要です。

【クラミジアの治療】

抗生物質の服用:
アジスロマイシンまたはドキシサイクリンが処方されることが多く、短期間で感染を治療できます。

・アジスロマイシン:空腹時単回投与(一度に4錠飲むだけ)。
・ドキシサイクリン:数日間の服用が必要です。

治療中は性行為を避けることが推奨され、パートナーも同時に検査・治療を受ける必要があります。
再感染を防ぐため、治療が完了するまで性行為を控えましょう。
治療後3週間以上経過してから、再検査で陰性を確認することを勧めます。

【クラミジアと不妊・出産との関係】
クラミジアは無症状で進行することが多いため、治療が遅れると深刻な合併症を引き起こす可能性があります。特に女性では、治療が遅れると以下のような問題が発生することがあります。

骨盤内炎症性疾患(PID):
子宮や卵管・卵巣と腸などの骨盤内の臓器に炎症が広がり、下腹部痛の原因となります。骨盤内が炎症で癒着すると不妊の原因となります。

卵管の閉塞:
卵管に炎症が及ぶと卵管が閉塞し、受精卵が子宮に到達しづらくなくなります。これにより、卵管妊娠(子宮外妊娠)、自然妊娠が困難になる、という場合があります。

クラミジア子宮頸管炎をもつ妊婦は前期破水(→早産)しやすく、また感染したままの母親から生まれた新生児が産道感染し、生後3カ月までの間に肺炎を罹患(りかん)します。結膜炎、鼻炎を先行することが多いとされます。

適切な時期に検査と治療を受けることで、こうした合併症を防ぐことができます。特に妊娠を希望する方や不妊治療を行っている方にとっては、早期発見と治療が重要です(相談を受けた医師は初診で検査するでしょう)。

筆者が勤務していた産科クリニックでは妊娠10週代後半で妊婦さん全員に検査していました(20週代で破水→早産となったら大変ですから)。

【まとめ】
クラミジアは無症状で進行することが多いため、定期的な検査と早期の治療が重要です。不安や疑問がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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