「排尿の異常」は症状と病名が交錯するので理解しにくいですが、出来るだけわかりやすく説明しますとー
排尿障害とは、(1)排出の障害と(2)蓄尿の障害です。それぞれの症状は、
(1)排出の障害(尿をうまく出せない)→尿閉、尿の出が悪い
(2)蓄尿の障害(尿をうまく貯められない)→尿失禁、頻尿
泌尿器科のお悩みでよく話題に上る症状が、尿失禁(尿もれ)と頻尿(特に夜間)です。
説明を抑えつつ簡潔にまとめると、
尿失禁(尿もれ)
次のように分類します。
1.腹圧性尿失禁=咳やくしゃみなど、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう症状。骨盤底の筋肉のゆるみが原因とされ、加齢や出産、排便時のいきみ、喘息が骨盤底筋にダメージを与えます。
…【治療】軽症ならまず骨盤底筋体操、内服治療ではスピロペント錠(10mg)1回1-3錠、1日2回
2.切迫性尿失禁=急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまう症状。多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮します。
…【治療】過活動膀胱の治療と同じ。
β3作動薬=膀胱の筋肉が緩んで膀胱容量が広がり、尿道が縮んで頻尿・尿失禁を改善します。
ベタニス、ベオーバ
抗コリン薬=神経伝達物質アセチルコリンは膀胱を収縮させるので、それを抑えます。
バップフォー、ベシケア、トビエース
3.溢流(いつりゅう)性尿失禁=自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまう。男性に多くみられ、排尿障害が前提にあり、排尿障害を起こす代表的な疾患に前立腺肥大症があります。腎機能不全になっていれば他科受診も。
…【治療】尿排出障害治療薬で開始する。
男性はα1遮断薬(交感神経を介して前立腺と尿道の筋肉の緊張を緩める)
ハルナール、フリバス(この2剤はめまい・起立性低血圧の頻度が少ない)、エブランチル(1回15㎎、1日2回より開始)…エブランチルは女性にも適応あり。
4.機能性尿失禁=排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁です。たとえば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できない、といったケースです。症例ごとに対応します。
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